1)お墓は誰が管理するべきなのか?
お墓を新しく建てる場合、その多くは葬儀で喪主を務めた方が建墓の施主を務めます。
では、その後は誰がそのお墓を守っていくのでしょうか?
また、すでにあるお墓は、いま管理している人が亡くなった場合、誰があとを継いでいくべきなのでしょうか?

2)長男がお墓を守る、という考え方の根拠
よく言われるのは、その家の長男がお墓を守る、というものです、
この根拠は、戦前まで採用されていた旧民法における「家制度」です。
家督、つまり家父長制における家長権は、江戸時代から嫡子単独相続(長男が単独で相続すること)が確立され、これが明治以降も引き継がれました。
長男は、その家の家長権、財産権だけでなく、仏壇や墓などの祭祀権も相続することが当然でした。
日本国憲法直後に施行された民法の大改正により、家督制度は廃止されましたが、庶民レベルではまだこの考え方は現代においても残っています。

3)いまの時代は、長男でなくてもよい
さて、日本国憲法下の現行民法では、長男を祭祀承継者に定めるなどどこに記載されていないために、誰があとを継いでも構わないのです。次男でも、三男でも。親の代と生活をともにしていた、あるいは近くに住んでいた人がこれを務めることが多いようです。

4)「施主=墓守」とは限らない
お墓を守る人のことを「墓守(はかもり)」などと呼びます。
墓守の定義があるわけではないので、解釈のしかたはさまざまですが、現代において難しいのは、お墓を継ぐ人、つまり施主のことですが、「施主=墓守」とは限らない点です。
施主は、そのお墓の管理の決定権を持っていますし、寺院や霊園などとの窓口になる人のことです。
一方、「墓守」と呼ばれている人は、広い意味でお墓参りやお墓掃除を主体的にする人、と解釈できるでしょう。
施主が頻繁にお墓参りできればなにも問題はないのですが、遠方にいるために、施主に代わってお墓の近くに住む親戚や知人が墓守を務めることもあります。墓地の管理者である寺院や霊園が務めることもあるでしょう。

5)施主を中心に、家族や親戚みんなでお墓を守るのが理想
「墓守」という言葉には、どうしてもネガティブな印象がつきまといます。
昔と違って、現代は多くの方が生まれ育った土地を離れて、日本中あるいは世界中に移住する時代です。先祖を繋ぐお墓の守りをすることはどうしても重荷に思われてしまいます。
とはいえ、お墓は家族をつなぐ絆のシンボルです。亡くなった両親、祖父母、そしてご先祖様がいたからこそ自分たちがいる、という揺るぎない事実を、お墓は象徴しています。
施主が1人でお墓を守りするのは、とても大変なことです。
あくまでもお墓の管理の主体、窓口として施主がいて、実際的な管理は家族や親族全員でしていく姿が理想だと思われます。

6)お墓の管理でしなければならないこと
・お墓参り、お墓掃除
何よりもお墓参りが大事です。もちろんその時に掃除をするのですが、無理のない範囲でしましょう。お墓掃除が重荷でお墓を手放そうとする人がたくさんいますが、ご先祖様から見れば、子孫が会いに来てくれただけでよろこびです。重荷にならないお墓参りが理想でしょう。

・年間管理料の支払い
多くの墓地では年間管理料を徴収します。これは、墓地の共益部分を利用者全員で管理するためのものです。
また、毎年の支払いの義務があるからこそ、寺院や霊園とのご縁をつないでおくという側面もあります。

・行事や清掃への参加
寺院墓地であれば、寺院の法要や行事への参加を求められることもあるでしょう。
また、地域の共同墓地などでは年に数回の清掃作業などもあります。
公営墓地や民営墓地ではこうした行事や法要への参加はほとんどないでしょう。